旅の空

バリ島 2018

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ウブドの庭

最終日

とうとう最終日だが、帰国便の出発は翌日の午前零時で、ヴィラは18時のレイトチェックアウトを予約してある。一日かけてどこかへ出かけることもできたのだが、あえて何も計画を立てず、気の向くまま行動しようと思った。ヴィラでごろごろしていたっていいのだし。

朝、部屋の外に出て見上げた空には雲がかかっている。雨は降りそうになかったが、快晴とはいかなかった。

読経のような声と鐘のようなものを鳴らすきらびやかな音が近所から聞こえてくる。

モンキー・フォレスト  Monkey Forest

朝食を済ませた後もしばらく部屋で考えたが、どこへ行って何をするか、特段、良い考えが浮かばなかった。結局、また宿の近くにあるモンキー・フォレストへ足が向いた。この日も外国人観光客で賑わっていた。

モンキー・フォレスト Monkey Forest

熱帯の樹木が鬱蒼として薄暗い森の中にも陽が差し込んでくる。ヤシの細かく分かれた葉が光を透過して輝かんばかりの美しさだ。

モンキー・フォレスト Monkey Forest

モンキー・フォレストを出てモンキー・フォレスト通りを歩く。昼近い時刻になった。

モンキー・フォレスト通り Jalan Monkey Forest
カフェ・ワヤン  Cafe Wayan

昼食にカフェ・ワヤンへ行くことだけは決まっていた。前回は夕食で来たのだが、バリの植物がふんだんにあしらわれた店内が気に入り、次は是非、明るい時間帯に来ようと思っていた。

カフェ・ワヤン Cafe Wayan

まだ早い時間だったので、幸い、離れの席が空いていた。人も車もごった返すモンキー・フォレスト通りから少し入っただけで、これほど緑あふれる空間があるとは驚きだ。

カフェ・ワヤン Cafe Wayan

庭園の中にレストランがあるようなものだった。席にいながら周りの眺めを楽しめる。料理が早く出てこなくていいと思った。

食事が済んだ後もしばらく庭を見物させてもらった。

カフェ・ワヤン Cafe Wayan

前回は気付かなかったが、レストランの奥に、レストランの建物部分と同じかそれ以上の広さで庭園が続いている。

カフェ・ワヤン Cafe Wayan

池の両側に東屋や石灯籠を配し、その周りには様々な観葉植物が密集している。所々に石像が置いてあり、見上げれば、ヤシの木やハイビスカスなどの花が目に入る。本当に見事というほかなかった。僕にとって理想の庭とはカフェ・ワヤンの庭だ。

ニュークニン  Nyuh Kuning

カフェ・ワヤンを出た後はモンキー・フォレスト通りにある店にちょっと立ち寄って、またヴィラに戻ってきた。

ニュークニン Nyuh Kuning

陽が出てきたので、ヴィラのプールで泳ぐことにした。チェックインにはまだ早い時間なので他に客の姿はなく、プールは独り占めだった。プールの反対側まで少しの距離を泳いだり、プールサイドに置かれたベッドに寝そべったり。子どもの遊び場程度の小さなプールだが、一方は大人でも足がつかない深さになっている。

プールに浮かんで青空を見上げる。休みも終わりだなとしみじみ思った。

ロカパラヴィラ Loka Pala Villa

プールを出た後は、例によってレストランのある別棟の2階へ上がる。夕風に涼みながら、周囲の景色をぼんやり眺めた。ヴィラを囲む田んぼの中でちょうど代掻きをしている農家がいた。

ニュークニン Nyuh Kuning

ツバメの異様な大群が円を描くように田んぼのすぐ上を飛び交っている。向こうの茂みに繋がれたままの2頭の牛が時折、思い出したように鳴く。何もしていない割に時間は思いのほか早く過ぎる。

空港へ

宿を18時にチェックアウトしたが、迎えの車が来るまでにはまだ時間がある。荷物を預かってもらって夕食に出かけた。昨日と同じディー・ワルンだ。料理が出てくるのを待っている間に外はすっかり暗くなった。

空港の免税店で土産物をゆっくりと見たかったし、ウブドから空港へは道路がひどく渋滞すると聞いていたので、19時半にヴィラを出たのだが、あまりに早く着きすぎた。車窓から景色を眺めていると、空港のあるデンパサールは同じバリ島でもウブドとは別世界に思える。


《 バリ島 2018 完 》