旅の空

はじめに

イラン:西アゼルバイジャン州の風景:The Landscape of West Azarbaijan Province, Iran

イランという国を初めて訪れたのは2004年夏のことです。
乾いた空気、雄大な風景、美しい色と形、気さくで温かい人々…、私は、すっかりこの国に魅了されました。

しかし、近年、マスコミから流れてくるイラン関係の話題といえば、せいぜい、イラン人麻薬密売人の逮捕か核問題くらい。この国のイメージは、年々、悪化の一途をたどっているように見えます。

2007年に再訪した時、異口同音に言われた言葉を今でも覚えています。「イランに来てくれてありがとう」。そして、「帰ったら、イランがどんな国だったか伝えてください」と。テロ支援国家だの、悪の枢軸だのと散々言い立てられて、さぞかし心外だったのでしょう。

政治問題だけを取り上げて、その下に隠れている多彩な表情に目を向けないとしたら不公平ではないのか。それが、この国を初めて訪れた時から抱いてきた思いです。訪れる前と後で、これほど劇的に印象が変わる国はそう多くないはずです。

初訪問からは少々時間が経ってしまいましたが、3回の旅行を重ねて、ようやくサイトを立ち上げようという気になりました。この国の意外な素顔や旅の空気を感じてもらえたなら幸いです。

...va man mosāferam, ey bādhā-ye hamvāre... (SEPEHRI)
...そして、私は旅人。おお、吹きやまぬ風... (セペフリー)