旅の空

追憶のイエメン

8

サナア

この旅行記は2006年当時のものです。
2018年4月末現在、イエメンは内戦状態にあり、全土に退避勧告が発出されています。
イエメン門の朝  Bab al-Yaman

もホテルからイエメン門へ朝の散策に出かけた。イエメン門を行き交う人の流れは見ていて飽きることがない。

イエメン門の朝(サナア)|Gate of Yemen in the Morning,Sana'a

路上の喫茶店で紅茶を飲んでいたら、近くにいた若い男が写真を撮ってくれと言ってきた。イスラム教のイエメンでアルコール類はご法度なので、紅茶の入ったグラスで乾杯のポーズをして一緒に記念撮影した。僕は、サナアのカルダモン入り紅茶がすっかり気に入ってしまった。

国立博物館  National Museum

サナアにある国立博物館の建物は、かつて北イエメンを支配していた旧イエメン王国のイマームの宮殿だった。1962年の革命によって宮殿はイエメン・アラブ共和国(北イエメン)政府に接収され、博物館へと転用された。元は宮殿だったこともあり、見事な建物である。漆喰装飾も手が込んでいる。

国立博物館(イエメン、サナア)|National Museum in Sana'a,Yemen国立博物館(イエメン、サナア)|National Museum in Sana'a,Yemen

博物館の目玉は、紀元前10世紀頃からサナアの約130キロ東にあるマアリブを中心に栄えたシバ王国の出土遺物である。イエメンに来る以上は、シバ王国の都であったマアリブにも足を伸ばしたいところだったが、この当時、マアリブでは外国人観光客の誘拐事件が頻発しており、パッケージ・ツアーの行先からは外れていた。

国立博物館(イエメン、サナア)|National Museum in Sana'a,Yemen国立博物館(イエメン、サナア)|National Museum in Sana'a,Yemen

その丸みを帯びた優美な造形はメソポタミア文明の影響を感じさせるものだった。イエメンにこのような文化があったとは意外だった。古代オリエントの歴史には昔から興味があったが、アラビア半島の部分に関しては知識がほぼ欠落していることに気づいた。

サナア旧市街  Sana'a Old City

サナアの旧市街へと入ってゆく。イエメンに来た7日前以来、二度目の街歩きである。

サナア旧市街(イエメン)|Sana'a Old City,Yemen

再び、サナアの摩天楼群が見渡せる場所へ上る。晴れの日とそうでない日とでは景色の見え方がこれほど違うものかと驚かされた。前回はあいにくの曇り空で、景色も沈みがちだった。

サナア旧市街(イエメン)|Sana'a Old City,Yemen

しかし晴天のこの日、街は見違えるように本来の色合いをくっきりと見せた。見渡す限り、石とレンガでできた高層建築が林立している。そして建物という建物の窓や壁面は全て美しい漆喰装飾で丹念に縁取りされている。

サナア旧市街(イエメン)|Sana'a Old City,Yemen

その色彩を例えれば、生クリームの細い線で表面にアラベスク模様を描いたチョコレート・ケーキといったところだろうか。まさに、お伽話に出てくるお菓子の家さながらである。それが見渡す限りの空間を埋め尽くしている。

サナア旧市街(イエメン)|Sana'a Old City,Yemen

一人で歩いたらたちまち道に迷いそうな細い路地と曲がり角を抜け、またスークにやって来た。ここで自由時間となる。

サナアのスーク(イエメン)|The Suq of Sana'a,Yemen

この前、荷物になるからと買わずにおいたピスタチオと香辛料のカルダモン、イエメン産の蜂蜜を買った。サユーンでは岩塩、昨日は干しブドウを買っている。海外旅行でこれだけ農産物を買ったことはなかったかもしれない。

もう一つ、イエメン土産の定番といえば、黄色い背景と赤い帯に白字のロゴマークのパッケージデザインがあの「リプトン」ブランドを彷彿とさせる「イエメントン」紅茶のティーバッグは外せない。

イエメン門にて  Bab al-Yaman

集合場所はイエメン門のすぐ内側にある広場だ。門の上にも上がったりしながら、イエメン門を行き交う人の流れを眺めて過ごした。

イエメン門(サナア)|Gate of Yemen,Sana'a

サナアっ子と一口にいっても、実に様々な服装をした人が門をくぐって出て行き、あるいは入って来る。門の近くでは腕に商品をぶら下げた物売りが待ち構えている。

イエメン門(サナア)|Gate of Yemen,Sana'a

門に通ずる大通りを大多数の通行人はただ通り過ぎていくが、時折、立ち止まって話し込む人々がいれば、通りに面した広場で何やら自然発生的な集まりができたりもする。

イエメン門(サナア)|Gate of Yemen,Sana'a

集合場所となった広場でとても面白いことが起こった。集合時間が近づき、添乗員の周りに集まって話をしていた我々を取り囲むようにして、我々に興味を持ったか、近くにいた地元民たちが集まってきたのだ。

イエメン門(サナア)|Gate of Yemen,Sana'a

ちょうどイエメン門の上にいた同行の人たちに僕はこちらの写真を撮ってくれるよう頼んだ。門の上から撮影の合図の掛け声がかかる。そうして撮った写真は、サナアの人たちと記念に撮った集合写真のようになった。

イエメン門(サナア)|Gate of Yemen,Sana'a

《 追憶のイエメン 完 》