詩の小径
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ソフラーブ・セペフリー 「目印」
友だちのうちはどこ?
世界的に有名なイランの映画監督・アッバース・キヤーロスタミーの代表作には、『友だちのうちはどこ?』、『そして人生はつづく』、『オリーブの林をぬけて』の「ジグザグ道三部作」が挙げられると思います。
三部作の第1作目となる『友だちのうちはどこ?』は、下にご紹介するソフラーブ・セペフリーの「Neshani」という詩からキヤーロスタミー監督が着想を得て生まれたそうです。
僕は初めてこの詩を読んだとき、宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』が頭に思い浮かびました。それと、どこか童歌の「かごめかごめ」を彷彿とさせるものがあるように思えます。
Neshānī
"Khāne-ye dūst kojāst?" dar falaq būd ke porsīd savār.
Āsmān maksī kard.
Rah-gozar shākhe-ye nūrī ke be lab dāsht be tārīki-ye shenhā bakhsīd
va be angosht neshān dād sepīdārī va goft:
"Na-rasīde be derakht,
Kūchebāghī ast ke az khāb-e khodā sabztar ast.
Va dar ān 'eshq be andāze-ye parha-ye sedāqat ābī ast.
Mī-ravī tā tah-e ān kūche ke az posht-e bolūgh, sar be dar mī-ārd,
pas be samt-e gol-e tanhā'ī mī-pīchī,
Do qadam mānde be gol,
pā-ye favvāre-ye jāvīd-e asātīr-e zamīn mī-mānī
va tou rā tarsī shofāf farā mī-gīrad.
Dar samīmiyat-e sayyāl-e fazā, khesh khesh mī-shenavī:
Kūdakī mī-bīnī
rafte az kāj-e bolandī bālā, jūje bar-dārad az lāne-ye nūr
va az ū mī-porsī
khāne-ye dūst kojāst?"
【私訳】
「友達の家はどこ?」と、馬に乗った者が尋ねたのは夜明けのこと
天は動きを止めた
通りがかりの男は、口にくわえた光の枝を砂の暗闇へと委ね
白楊の木を指差して言った:
「あの木までは行かない辺りに
神の眠りよりも緑色をした小さな園路がある
そこでは愛が誠実の羽と同じくらい青い
成熟の後ろから現れたその小路を終わりまで行き、
そうしたら、孤独の花の方を向いて、
その花まで二歩の位置、
大地の神話が永遠の噴水のように噴き出ているところで足を止めなさい
すると、君は透明な恐れに身を包まれるだろう
その液体のような空間の中心で、サラサラという音が聞こえるはずだ:
高い松の木のてっぺんに上って光の巣からひな鳥を捕まえている子供が見えるから、その子に訊いてみるといい
友達の家はどこ?と
(参考:『現代イラン詩集』鈴木珠里訳 土曜美術社出版販売)