旅の空

イランの旅 2013

17

シーラーズ、そしてテヘラン

ハーフェズィーエとサアディーエ  Hafeziye va Sa'diye

ダーラーブを発って、シーラーズに到着した時には午後2時を回っていた。4年前に泊まったパールスィヤーン・ホテルのレストランで昼食をとる。

ダーラーブのナグシュ・シャープール・ホテルとは星の数が1つ違うので無理もないが、ひどく高級なホテルに見える。

3時半頃、時間つぶしの市内観光に出かける。9年前にも訪ねたハーフェズ廟サアディー廟へまた行ってみることにした。

しかし、つい4時間前までいたダーラーブゲルドで興奮と感動を全て出し尽くした僕は、もはや抜け殻も同然だった。残念ながら今回はさして感じるものがない。こんなことならダーラーブゲルドにもう1時間いればよかった。

それでも、この4日間、石と土くればかり見ていたせいか、庭に咲く花の色が一層鮮やかに映った。

ハーフェズ廟(シーラーズ)Hafeziye (Shiraz)
ハーフェズ廟(シーラーズ)Hafeziye (Shiraz)
ハーフェズ廟(シーラーズ)サアディー廟(シーラーズ)| Sa'diye (Shiraz)
別れの時

シーラーズの空港に着いた。2日間世話になったダーラーブの運転手、ラスールさんとはここでお別れだ。

ハメドさんに通訳をお願いして彼に言った。
「タンゲ・チャク・チャクに今回行くことができたのはあなたのおかげです。いくらお礼を言っても足りない。」

すると、彼はこう答えた。
「この旅は、アッラーがあなたに恵んでくださったものなのです。」

いいえ、あなたこそ神の恵み。とっさにそんな気の利いた言葉は出なかった。彼は運転手として一流であるばかりでなく、素晴らしい人格の持ち主であった。

別れ際に彼と抱擁を交わす。お互い右の頬をつけ、次に左の頬、最後にもう一度右の頬をつけるのが流儀だ。

さらにラスールさんは、見事なシェキャステ体で詩の一節をしたためた書を僕にくれた。イランの現代詩人、ニーマー・ユーシージの詩だという。やはりこの人、ただ者ではない。

18時発のアーセマーン航空3781便で僕達はテヘランに飛ぶ。夕食はキャラジにあるハメドさんの自宅でご馳走になることにした。